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良い戦略の例から競争優位を構築するポイントを読み取る 鳥居 正直氏

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サウスウエスト航空の戦略

良い戦略の例を見ると、複数の戦略領域で優位性を持ち、それらを基本コンセプトのもとに組み合わせて大きな競争優位を確立していることや、1つの行動が同時に複数の戦略領域で優位性創造に貢献していることがわかります。

戦略論で頻繁に取り上げられる戦略の成功例に、サウスウエスト航空があります。サウスウエスト航空は短・中距離を移動する顧客に「低運賃で定刻どおりの多便数の運行」という利便性を提供することを基本戦略としてきました。当初の主なターゲット顧客層は中距離を自動車で移動していたビジネスマンたちでしたが、より広い顧客層からも支持を得ています。創業2年後の1973年以来ずっと黒字経営を続けており、2009年には輸送旅客数世界1位にもなりました。

サウスウエスト航空は使用する機材をボーイング737型機に統一しています。その結果、折り返し作業の標準化で時間短縮でき、定刻・高頻度運行という「独自の顧客価値」の創造に寄与しています。さらに機材の統一は、整備コスト・乗務員訓練コストの「低コスト化」を実現しました。また、機材の統一による補修部品在庫軽減と短い折り返し時間による機材の稼働率アップは「資産有効活用」で優位性を築いています。このほか、機内食や指定席の廃止は遅れの原因となる作業をなくし定刻・高頻度運行に役立ち、同時にコスト低減で低運賃(顧客価値)にもつながっています。

デル・ダイレクト・モデル

もう一つの有名な成功戦略の例であるデル・ダイレクト・モデルを見てみましょう。デル社は1984年に創業後20年余りで世界的なパソコンメーカーに急成長したアメリカの会社です。このモデルは、直接販売による低価格と短納期の受注生産が特徴で、パソコンに詳しい顧客層を中心に、オーダーメードでありながら低価格で短納期という「独自の顧客価値」を提供しています。

ここでは、直接販売が中間マージン削除という大きな「低コスト化」を実現し、低価格という顧客価値に貢献しています。さらに、この直接販売はオーダーメードで自分の希望する機能と仕様のパソコンが買えるという「顧客価値」の創出を可能にしました。一方、オーダーメードはデル社にとっては受注生産ですから、製品在庫を最小化し「資産有効活用」を可能にしています。また、宅配やインターネットの活用で代金回収期間が短縮でき、資産有効活用に大きな効果をあげています。

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