グローバル競争時代のものづくり ~日本企業復権への10カ条

ものづくりの発想転換~『もの』と『つくり』を分けて考えよう 東京大学大学院経済学研究科  ものづくり経営研究センター特任研究員 吉川良三 氏

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✕ 技術はすごいのになぜ勝てないのか?
         
◯ 「どうつくるか」より「何をつくるか」が重要

日本のメーカーの人たちと話していると、「技術はいいのになぜ勝てないのか」という嘆き節をよく耳にする。「ものづくり」という言葉から、「匠(たくみ)の世界」を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。

グローバル化が進んだ今、改めて「ものづくり」について考えておきたい。日本企業の苦境の背景に、こうした「ものづくり」をめぐる誤解があると感じるからだ。

「もの」の世界と「つくり」の世界

ものづくりとは本来、消費者がワクワクするようなものを考えることと、それを製造することの2つの局面に分けて考えるべきではないか、というのが筆者の持論だ。

一般に「ものづくり」という場合、「もの」を構造物(製品)ととらえてしまうところに、誤解の元がある。「ものがたり」「もの思いにふける」「もののけ」といった言葉が示すように、「もの」は本来、形あるものではなく、思いや考え方、アイデアを指すと解釈することができる。一方、「つくり」はその思いなりアイデアなりを具体的な形にするときのプロセスであり、製造業でいう「生産活動」に当たる。「もの」は頭の世界、「つくり」は手足を動かす世界、と言い換えてもいい。

アップルの携帯端末「iPhone」に象徴されるような、消費者がワクワクするもの、「これがあれば自分の生活が変わるのではないか」と思えるようなものを生み出すのが、「もの」の局面だ。製品に付加価値をつけるのは、生産性や品質ではなく、そうした斬新な製品コンセプトやソフトウエア、デザインの部分だ。原価が5000円もしないような有名ブランドのビニール製バッグが20万円で売れるのも、「もの」のところで圧倒的に消費者を魅了しているからにほかならない。

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