技術を武器にする経営 日本企業に必要なMOTとは何か

イノベーション経営を阻む三つの関門 伊丹 敬之、宮永 博史

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魔の川、死の谷、ダーウィンの海――三つの関門

前回は、「経営すること」の本質から説き起こしてイノベーション経営の三段階での大まかな様子を描いたが、イノベーション経営を「どのような関門を乗り越えなければならないか」という視点から見ることもできる。技術経営の分野でよくいわれる、「魔の川」「死の谷」「ダーウィンの海」という難所、つまり関門である。

魔の川とは、一つの研究開発プロジェクトが基礎的な研究(Research)から出発して、製品化を目指す開発(Development)段階へと進めるかどうかの関門のことである。この関門を乗り越えられずに、単に研究で終わって終結を迎えるプロジェクトも実際には多い。

死の谷とは、開発段階へと進んだプロジェクトが、事業化段階へ進めるかどうかの関門である。この関門を乗り越えられずに終わるプロジェクトも多い。そこで死んでしまうことから、死の谷と呼ばれる。事業化するということは、それまでの開発段階と比べて資源投入の規模は一ケタ以上大きくなることが多い。たとえば、生産ラインの確保や流通チャネルの用意である。だから、死の谷は深いのが当然である。

ダーウィンの海とは、事業化されて市場に出された製品やサービスが、他企業との競争や真の顧客の受容という荒波にもまれる関門を指す。ここで、事業化したプロジェクトの企業としての成否が具体的に決まる。ダーウィンが自然淘汰を進化の本質といったことを受けて、その淘汰が起きる市場をダーウィンの海と表現したのである。

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