スーパー経理部長が実践する50の習慣

黒字会社と赤字会社で異なる社員の「習慣」 前田康二郎氏

経営

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

何をどうするのか、がわかればよい

仕事の引き継ぎを受ける立場の人間であれば、マニュアルがあるのとないのとでは、あるほうが助かるに決まっています。

私も若いときに、退職される方から業務を引き継ぐ機会がありました。口頭での引き継ぎで、しかもそれが早口言葉くらい速く話されたため、満足にメモもとれません。後からメモを読んで、わからないところをもう一度聞きに行くと、「どうして1回でわからないの?」と反対に言われたことがあります。実は、この引き継ぎには少し事情がありました。前任者は解決しなければいけない数字を数年間、放置していたのです。私にそれを伝えないまま引き継ぎしようとしていたことがわかったのです。

私も、仕事が忙しいときは口頭で業務の説明をしてしまうことはあります。しかし、正式なマニュアルではなくても、自分だけしか見ない「あんちょこ」と呼ばれるメモ書きは必ず用意しています。

ともかくこれからの時代、人材の流動化はどんどん進みます。時には、外国人従業員が経理部の仕事に就くケースも出てくるでしょう。ですから、経理社員も、誰もが理解できるような日本語で文書を作成する能力を磨いていかなければなりません。

マニュアルの前に大切なこと

業務マニュアルは重要ですが、絶対ではありません。業務マニュアルが作れないほど、その会社の事業内容やクライアントごとに契約条件が違いすぎる場合などは、マニュアルを作成しても、あまり効力を発揮しないことがあります。私は、新規ビジネスや、新規プロジェクトを計画する際のミーティングには、必ず売上と原価のたてつけを理解できている経理担当役員、部長も立ち会うことが必要と考えています。

理屈と現実は違いますから、実際にスタートしていくと、お金に関する予想外のトラブルが頻発することがあります。そうしたリスクを事前に理解したうえでビジネスに落とし込むのと、そうでないのとでは、実務処理の速さや実際に発生するトラブルの数が圧倒的に違うのです。せっかくよいビジネスであっても、お金に関するトラブルのためにスケジュールが延びて機会損失が増えてしまうのは非常にもったいないことです。

仕事を業務マニュアルに落とし込むことはもちろん大切です。しかしその前に、その業務のもとになる事業自体をシンプルに計数管理に落とし込めるような共有のルールやたてつけができるように、現場や経営陣が持っていくことはもっと重要です。

前田康二郎 著 『スーパー経理部長が実践する50の習慣』(日本経済新聞出版社、2014年)II「日常の行動習慣が『デキる』をつくる」から
前田 康二郎(まえだ こうじろう)
流創株式会社代表取締役。1973年、愛知県名古屋市生まれ。学習院大学経済学部経営学科を卒業後、数社の民間企業で経理・IPO業務を中心とした管理業務、また中国での駐在業務を経て独立。現在は「フリーランスの経理部長」として、経営コンサルティングや企業の経理社員などへの実務指導、サポート業務などを行っている。

キーワード:経営、企画、経理、経営層、管理職、人事、働き方改革、人材

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

経営

関連情報

新着記事

もっと見る
loading

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。