鈴木敏文 仕事の原則

いくら会社が大きくなっても、一店舗一店舗の商売が大事 緒方知行、田口香世

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「いかなる過去の強者・覇者も、市場やお客様の要求の変化に応えられない者は、衰微・衰退を免れ得ない」――これは、セブン‐イレブンの生みの親・鈴木敏文氏の一貫して変わらぬ哲学である。鈴木氏は「変化への対応」の重要性を、まさにくどいといっていいほど繰り返し強調してきた。本連載では、その哲学を端的に表現した鈴木氏の談話を紹介するとともに、エッセンスを解説する。

鈴木敏文氏の「仕事の原則(4)」

セブン‐イレブンの店に行ったときに、弁当もおにぎりも何もないということがありました。困ったお客様が店の人に「この近くに何か食べるところはありませんか?」と聞いたところ、「私はアルバイトなので、このへんのことはあまりわかりません」と答えたのです。これではストアロイヤルティは下がります。

自店で品切れを起こしていたときには、「どこそこの店に行けばあります」と教えてあげれば、お客様は親切心のある店だと感じるはずです。これがお客様の立場に立つということです。

ところが多くの場合、ほかの店にあることを知っていても、「すみません、品切れを起こしていまして」で終わりにします。そのほうが「よその店にあることを知られなくていい」と考えるからです。これは売り手の勝手な判断です。すべてをお客様の立場に立って考えるということが、商売の基本なのです。

私に、お客様から直接投書が届いたことがあります。

「70円という定価がついていた商品をレジに持っていきました。お店の人は『70円ではなく、90円の間違いです』と自分の不手際を謝りもしないのです。こんな不愉快な店があるでしょうか。私はこの店を二度と利用しません」という内容の手紙で値段シールのついた商品も同封されていました。こういうことが行なわれているということについて、どう考えなければいけないのでしょうか。

ミスはだれにでもあることです。ミスがあった場合には「申しわけございません」と謝り、「これは私どもが間違っていたのですから、70円で結構です」というくらいの対応をするのがお客様の立場に立つということです。それを「90円の間違いです」とけんもほろろに言ったら、お客様がカチンとくるのは当たり前です。

この手紙には、「接客についての教育ももっと徹底的にやったらどうですか」と書いてありました。こういう店が一店でもあったら、ほかのセブン‐イレブンの店が普段フレンドリーに努力しても、同じ看板を掲げている一店のためにその努力は水の泡になります。全体のイメージが下がってしまうことになるからです。

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