鈴木敏文 仕事の原則

商売でもっとも重視すべきは「先行情報」 緒方知行、田口香世

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「いかなる過去の強者・覇者も、市場やお客様の要求の変化に応えられない者は、衰微・衰退を免れ得ない」――これは、セブン‐イレブンの生みの親・鈴木敏文氏の一貫して変わらぬ哲学である。鈴木氏は「変化への対応」の重要性を、まさにくどいといっていいほど繰り返し強調してきた。本連載では、その哲学を端的に表現した鈴木氏の談話を紹介するとともに、エッセンスを解説する。

鈴木敏文氏の「仕事の原則(8)」

私は持論として、経験情報(※)より重視すべき情報として、先行情報をあげています。極端にいえば、「経験情報3割、先行情報7割」くらいで先行情報に比重をおいて、考えなければならないということです。

(※)経験情報とは、それぞれの店舗が立地する地域の学校行事など、お客様のニーズに短期的な変化をもたらしうるものの情報。それぞれの行事について、家族が参加するのか、雨ならどうだったのか、などの情報も含む。

経験情報に頼りすぎると、過去の延長線上での仕事に陥ることになります。例えば、ある年いちごが天候不順で不作で、12月のクリスマスケーキに使うものが不足して困ったのに対し、その翌年は豊作で十分に材料として使えたとします。この場合、前年のデータが役に立ったでしょうか。状況がまったく変わっているのに、過去のデータを使おうとするのは間違いです。

Aという弁当であれば、何時に品切れを起こしたかが大切です。朝入れたものが10時なのか昼過ぎなのかで、意味は全然違います。しかも、Aしか残っていなかったために品切れしたのと、ほかの弁当商品がすべて揃っていたなかでAだけが品切れしたのでも意味が違います。

このように踏み込んでいなくて、過去の経験・過去のデータを持ち込んでも、まったく意味はありません。昨年はどう? 前週は? 昨日は? などPOS(販売時点情報管理)データから収集した経験情報に頼っていると、今日のように商品のライフサイクルが非常に短くなってきている時代においては、商売を縮小均衡に導くことになります。

私たちが仮説・検証に基づいて仕事をするうえで、経験情報を活かすには、積極的に収集した先行情報を加味して仮説設定に役立てるという考え方をしなければいけません。先行情報とは、天候やお祭りといった地域の催事などで、これから起こるさまざまなことに関心を持つということです。お客様に聞くことも大切です。

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