経営はデザインそのものである

「生活者」を起点に未来を描くデザイン 博報堂コンサルティング プロジェクトマネージャー 慶應義塾大学大学院 アート・マーケティング非常勤講師 西村 啓太氏

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デザインは企業経営にどのように関係するのでしょうか? 商品のデザインや広告のデザインだけではない、企業経営との関わりをひもといていきたいと思います。

会社の明るい未来を構想したいとき、デザインが役に立つ

コンサルタントとして、様々な企業経営者や事業部長といったミドルマネージャーの方にお会いすると、共通する悩みが見えてきます。キーワードは市場や社内に蔓延する『閉塞感』です。

国内人口の減少に伴う市場のパイの縮小、IT(情報技術)イノベーションによる新たな競合の登場、流通企業の交渉力の拡大とPB(プライベート・ブランド)の台頭、SNS(交流サイト)等により、生活者が発信する情報が氾濫し企業が発信する情報が埋もれる、など企業経営は「激しく、速くなる変化と、対応すべき事柄が多い競争環境」にさらされている、と言えます。いきおい、日々の業務や短期的な問題への対応に追われ、自社のありたい未来像を見通す余裕がない、という方も多いのではないでしょうか。

自社の明るい未来を構想し、社員だけでなく、お客様や投資家、将来就職するかもしれない学生に提示していくことは、経営において重要なテーマです。社内外の多くの人に会社が進んで行こうとする未来像に共感してもらい、協働してもらい、実際に魅力ある商品・サービスを生み出していくからこそ、企業経営は円滑に持続していくことができます。

このお客様や社員、その他会社を取り巻く全ての人々に、会社のありたい姿を構想し、企業活動として具現化していくことが、経営におけるデザインの役割だと定義しています(図1)。

図1 デザインが有効性を持つ経営領域<br /></p><p>出典 「経営はデザインそのものである」(ダイヤモンド社、2014年)

図1 デザインが有効性を持つ経営領域

出典 「経営はデザインそのものである」(ダイヤモンド社、2014年)

従来の「ビジョン策定」では上手くいかない理由

会社の明るい未来を構想することは、一般的に「ビジョン策定」という言葉で知られており、多くの企業で経営ビジョンが策定されています。ではなぜ、デザインという方法論を導入することが「ビジョン策定」において重要なのでしょうか? 既存のビジョン策定では、社内外の多様なステークホルダーからの共感を得る、という観点に照らし合わせると下記2点の問題があると考えています。

・自社内の都合だけで考えられた未来像であり、社会、お客様、社員など多様な人々にどのように関わっていきたいかが見えない

・未来像が、売上高や利益額といった数値指標のみで示されている

では、デザインの方法論を用いて会社の明るい未来を描くとはどういうことか、世界中で多くの生活者から支持され、成長してきた米アップルの経営を事例として読み解いていきたいと思います。

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