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デジタル化で抜け落ちる「顧客への共感」 田中公認会計士事務所所長 田中 靖浩氏

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近年、米国では、マーケティングや心理学を活用した値決め=プライシングの事例が多数登場しています。一方、かつてメード・イン・ジャパンのものづくりで勝利した日本は、いまだモノの品質にこだわり、それを「コストを下げて安く売る」ことばかり考えています。安値と決別するには自らの「価格の哲学」をもち、「顧客満足『高』価格」を目指す技術を手にしましょう。この連載ではその道案内をします。

デジタルの反動で登場した行動経済学

データ分析は万能ではありません。どれだけくわしくデータ分析しても、わからないことがあります。レコードがCDになったとき「抜け落ちる」音があったように、すべてのデジタルデータから「抜け落ちる」ものがあります。

データは、顧客が買った「場所・時間・品目」を詳細に教えてくれます。しかしデータは「顧客が明日何を買うか」を教えてくれません。これについては、私たち自身が「仮説」を立てるしかありません。私たちはそろそろ「デジタルの限界」を悟るべきだと思います。

デジタル・オンライン・グローバル時代に突入してからというもの、デジタルな「数字&データ」を扱う会計、統計、データ分析といった分野に注目が集まりました。職場でもIT化が進み、街の店にはポイントカードが花盛り。しかし、デジタル化された方向に行けば行くほど、顧客にマッサージ券やチョコレートを贈るような感性が鈍り、シャレっ気が失われていくようです。

こうした「デジタルに振れすぎた」振り子が、反対の「アナログに戻ってきた」のが行動経済学の登場です。行動経済学は、いわばアナログの復権。行動経済学=ビジネス心理学は、人間の心をのぞきながら「心地良さ」や「快適さ」といったCAT感情について掘り下げます。それは、あらゆるものをデジタル化するプロセスで「抜け落ちた」心理要素を、いまいちど掬すくい上あげる試みです。

デジタルなDOG競争は、ともすると人間性を損なう世界です。そこでは効率性や生産性がキーワードとなり、常に値下げが起こります。これに対してアナログなCATは、こぢんまりとした居心地良い空間を目指します。そこでは感性や共感がキーワード、ファンの支持があれば価格は下がりません。

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