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「原価率300%」俺のイタリアンの謎 田中 靖浩氏

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「無料」はもともと設備型・固定費中心向き

「無料!」は、変動費が小さい「固定費中心ビジネス」では、さらに効果を発揮します。固定費ビジネスの場合、「1個の儲け」が大きいうえに、無料でおまけする分の変動費コストが小さい。だから「無料!」メッセージに喜んでお客さんが来てくれれば、大儲けできます。(図表2)

図表2 「無料」は固定費ビジネス向き

図表2 「無料」は固定費ビジネス向き

これをうまく使っている典型的な例が、航空会社のマイレージと、映画館のシネマイレージです。世界で初めてマイレージサービスを始めたのは1981年のアメリカン航空です。当時業績が悪化していたアメリカン航空は、マイルをためれば「無料」航空券を手にできるアドバンテージ・プログラムで、1年で100万人もの会員を獲得しました。その後、多くの北米航空会社が同様のサービスを導入し、1997年には日本の大手航空会社も揃ってマイレージサービスを始めました。

映画館でも、マイレージというサービスが行われています。TOHOシネマズでは、「6回観たら1回無料!」のシネマイレージというサービスがあります。そして私たちは無料で観に行った映画館で、これまた原価の安そうなポップコーンを注文し、そして帰りにパンフレットを買ってしまいます。こうして「無料+有料」ミックスに乗せられているわけですね。

航空会社と映画館はどちらも同じ固定費型ビジネスです。余っている座席があるなら、「無料!」メッセージによって顧客を呼び込んだほうがいい。このほかホテルやスーパー銭湯などでも、さまざまな「無料!」メッセージを用いたキャンペーンを見かけるようになりました。

ここで注意が必要なのは、これらのビジネスはすべて「設備中心」の固定費ビジネスだということです。物理的な設備に空きを埋めるために「無料!」を使っています。これをそのまま「人間中心」の情報・サービス業に用いるのは少々問題があります。

賢明な読者はすでにお気付きのことでしょう。「人間中心」の固定費ビジネスで、「無料!」キャンペーンをやってしまうと、提供する人間の「時間」が奪われることになるからです。すでに「忙しい」「疲れた」が口ぐせの士業やサービス業のクリエーターたちは、無料キャンペーンには向いていません。病気や家庭不和を起こす恐れがあります。

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