飛躍する中小企業、グレートカンパニーへの軌道

ダメなPDCAに潜む「業績予測の罠」 船井総合研究所 川原慎也

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「PDCAサイクルをうまく回せない」――。数多くの経営者や幹部クラスの方々から、このような声を繰り返し聞いてきました。実際、このコラムを読んでいただいている皆さんの中にも、同じように感じている方がいらっしゃるのではないでしょうか。

PDCAサイクルは、「本来、当たり前にできていてしかるべきだ」とほとんどの方が認識していると思います。[P]計画を立ててそれを[D]実行する。実行したことがうまくできているのかどうかを[C]振り返って、できていなければ(あるいは、よりうまくできるように)[A]改善する、という極めて基本的なマネジメント手法です。

ただ、「計画を立てて実行する[PD]までは普通にやっているけれども、振り返って改善する[CA]ができていない」と感じる経営者や幹部クラスの方々が多く、これが「PDCAをうまく回せない理由だ」と考えているようです。

このような思いを抱えて、「[CA]がうまく回るようにコンサルティングをお願いしたい」と相談にいらっしゃる方が多いのですが、実はこれこそが決定的に誤った認識です。この相談の背景にある重要な問題に気づいていないうえ、PDCAマネジメントの利用目的を誤解しているともいえるでしょう。

本当に計画[P]を適切に設定できているか?

典型的な相談内容をもとに考えていきましょう。

まず考えなければならないのは、「計画[P]がきちんと作り込まれているか」という点です。しっかりした計画がなければ、PDCAサイクルは回りません。この点を相談に来られた方に問うと、「いやいや、計画はありますから」という答えが圧倒的に多いのですが、実際の計画書を見せてもらうと「このレベルの作り込みだと計画とは言えないな」と思うことが少なくありません。

この認識ギャップを埋めることはとても大切なので、もう少し具体的に説明します。

企業の計画書ですから、当然そこには数値目標が入っているわけです。まずは年間の売上目標があり、それが月別の目標に分解されています。業種によっては週別まで分解されているケースもあります。さらに商品別あるいはサービス別の目標、顧客別の目標、エリア別の目標、拠点別の目標と、その企業の展開するビジネスの特徴に応じて詳細に分解されているわけです。

しかし、この状態では「単に目標を分解した表」でしかありません。その数値目標をいかにして達成するのか、具体的な施策を考えて計画書に記述すべきですが、PDCAの相談に来られる企業では具体的な施策がほとんど計画されていませんでした。大まかな方針ばかりだったのです。

「目標を達成するためにつくるのが計画である」というのは、少し考えればごく当たり前のことです。それなのに、目標だけ定めて、達成方法をきちんと計画できていない原因は何なのでしょうか。

そこには人間の思考特性が影響を与えています。人間は「目標の達成が困難なほど用意周到に計画を立てるべき」と考える一方で、「できそうな目標を達成するために、緻密な計画をつくったりはしない」のです。

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