良い株主 悪い株主

良い株主は「対話力」で会社を変える みずほ証券 エクイティ調査部 チーフ株式ストラテジスト 菊地正俊氏

経営

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企業経営の視点から見た「良い株主」とはどんな株主だろうか。まず、経営者と共通の視点を持ち、経営者にヒントや閃きを与えられることが必要だろう。また、四半期ごとの短期的な成果でなく、中長期的な視点でアドバイスする姿勢も求められる。株主還元ばかりを求めず、成長投資を促す役割も重要性を増している。

異性を口説くようにアプローチ

高ROE(自己資本利益率)で、経営者も素晴らしく、証券会社のアナリストの格付けも皆、買い推奨の銘柄に投資しても、ベンチマークを上回るリターンを上げることは難しい。今経営がだめでも、企業が変わるポテンシャルに他の投資家が気づいておらず、これから良くなりそうな銘柄に投資することこそ、投資の醍醐味がある。

投資家や株主の話を全く聞いてくれそうにない企業に投資しても、時間の無駄になるだけだ。投資家の声に耳を傾けてくれる可能性がある会社に投資する必要がある。異性を口説く時と同じで、最初断られても、ストーカーにならない程度に、持続的にアプローチすることが重要だろう。

米国のバリューファンドのタイヨウ・ファンドが2005年から今に至るまで投資している測量ITシステムのトプコンは、投資家・株主との対話で、劇的に経営が良くなった事例である。

タイヨウ・ファンドはトプコンの歴代社長3代にわたって、累計200回近い対話を行って、経営を支援したという。トプコンは2000~01年度に最終赤字に陥ったが、2005年度あたりから業績が改善し始め、2014年度のROEは14.8%まで高まり、2015年度には20%のROEを目指すまでに至った。タイヨウ・ファンドのアドバイスが奏功して、51ページもの2014年度決算説明資料には、ポジションニング、スマートインフラ、戦略投資による事業拡大、投資のシナジーなどと投資家が好む言葉が散りばめられた。

投資家や株主が長期投資するためには、彼らのスポンサーである資金の出し手が、長期的に運用会社のパフォーマンスを見てくれる必要がある。良い投資家・株主は、短期的な運用パフォーマンスが悪い時にも、資金の出し手であるスポンサーを惹きつけておき、長期的な視点から投資を行い、投資先企業と対話を行う。

東芝やオリンパスの不適切会計事件に見られるように、経営の実権を握った権力者が投資家を欺こうとし、それが会社ぐるみとなれば、外部の株主が見破るのは難しい。

経営者にも、日本電産の永守重信社長のように、投資家に気軽に話しかけてくれる経営者もいる一方(日本電産の決算説明会は面白いと、多くの投資家が詰めかける)、気難しく、投資家の相手はCFO(最高財務責任者)以下に任せて、自らは経営に集中する経営者もいる。

良い株主は、中長期投資を行い、経営者との相互信頼関係を築いて、インサイダー情報に接しない範囲で、経営者と率直に経営について話し合える関係を築くだろう。社内競争を勝ち抜いて社長になった人や、持ち株比率が高い創業社長の場合、態度が尊大だったり、少数株主を見下すような態度を取る経営者もいる。アナリストが業績の数字を聞いただけで、そんなことはIR(投資家向け広報)に聞けと怒る経営者もいる。

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