現場発!社員に響く研修

「暗闇」がリーダーに教える 部下との対話法 野村証券、ユニークな部店長研修に潜入

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「言えなかった」「言わなかった」の関係は、上司と部下だけではない。縦割り組織の弊害もある。今回集まった部店長のうち、3分の2が現場の営業、3分の1が人事・総務や技術部門をはじめとする本社の仕事に携わる。

「本社の人間は、現場の営業担当を体育会系で怖い、と思っている。一方、現場の支店では、本社の人間はわかっていない、とお互いに壁を作っているところがありました。その壁をできるかぎりなくしたかった」(中川次長)。

内線電話、メールといったインフラを整えても、心の壁を取りはらうのは難しい。「その一声をかけていれば......」。組織の壁をなくし、大きなロスを事前に防ぐことも研修の大きな狙いだ。

「暗闇で何もしゃべらないと怖い」

「何も言わないが、孤独な部下もいるのでは、という当たり前のことに気がついた」

「普段はPCに向かってばかり。コミュニケーションを取れている"つもり"になっていたんだと痛感した」

研修を終えた部店長たちからは、こんな声が次々にあがった。

「リーダーシップ」は人によって異なる

この暗闇研修は、これまでにトヨタ自動車や東京海上日動などが活用。研修所や支店ごとに実施した例も多い。ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンの志村真介代表は、「リーダーシップとは何か、ということを学ぶ上でとてもよい手段だ」と話す。世界に目を向けると、ドイツ発祥のダイアログ・イン・ザ・ダークはすでに39カ国130都市で実施され、ダボス会議のリーダーシップ研修にも取り入れられた。

リーダーとは人を強く率いる存在だと思いがちだ。ところが、暗闇のなかでは弱い存在だと思っていた視覚障害者に頼らなければ進むこともできない。立場が逆転することで、「どう接すれば部下が話しやすくなるか」を知ることもリーダーシップだと、頭ではなく実感できる。

「自分は声も小さい。どちらかというと頼りがいがない」と思っていたリーダーが、暗闇のなかでは周りをてきぱき誘導することもある。暗闇のなかでは、知らない自分のリーダーシップを発見し、自分らしいリーダーシップとは何か、見つめなおす機会にもなるようだ。(松本千恵)

キーワード:経営、企画、経営層、管理職、プレーヤー、人事、人材、研修

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