BCG流 戦略営業

「押し込み営業」をやめられない理由 ボストン コンサルティング グループ 日本代表 杉田 浩章氏

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営業組織は科学的アプローチと相容れない、とする考え方は間違っている――。杉田浩章氏は、営業現場が「長年の慣行」を変えることで競争優位に立てる、と訴える。間違っていると営業現場の誰もが知りながら、なかなか是正できない問題の典型ともいえる「押し込み販売」などを例に、改善の実践的な手法を紹介する。

「科学の目」を取り入れる

営業TQMの特徴の一つは、定量データや客観的な事実など「科学の目」に基づいていることだ。これは、従来の営業現場で決定的に欠けているものでもある。例えば、我々はコンサルティングを行うときに、営業組織の現実を知るために、まず次のような質問を投げかけてみることが多い。

「取引先ごとのあらゆるコストを差し引いた最終の利益率を把握していますか」

「各取引先における自社と競合のシェアを把握していますか」

「販促費投入や納価引き下げの効果を把握していますか」

たいていの担当者は、おおまかな数字は把握していても、取引先別の詳細な分析は行っていない。その理由を聞くと、顧客という対象の個別性があるため、科学的なロジックを導入することには無理があるし、そもそも無意味だ、というような答えが返ってくる。しかし、実際にいろいろな切り口で詳細な分析を行うと、ほとんどすべてのケースで思わぬ事実が明らかになり、それをもとに変革が始動することが多い。こうした科学的根拠に基づいた課題の定義や施策であれば、幹部や現場の社員も納得し、変革の必要性を信じることができるため、困難な変革であっても実行につなげやすい。

2008年に行われた北京オリンピックの平泳ぎ100メートルで、北島康介選手が二連覇を遂げた。しかも、世界新記録を出すという快挙を達成したのである。このときマスコミで盛んに報じられたのが、北島選手が前半50メートルを泳いだときのストローク数が16回と、準決勝のときよりも3回も少なかったことだ。

競っている状況では、少しでも速い動作で前へ前へと進みたくなるものだ。そんなとき、あえてストローク数を減らして、ゆったりした大きな泳ぎをすれば、遅くなりそうだ。しかし、平井伯昌コーチはあえてストローク数を減らすように指示したのである。そして、北島選手がその指示を信じてやり切ったことが勝因となった。

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