BCG流 戦略営業

もう一握りのエースに頼れない 営業の苦悩 ボストン コンサルティング グループ 日本代表 杉田 浩章氏

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営業部門は概して保守的であり、新しい試みに消極的――。これまでの日本企業の業績回復は、主に生産部門と間接部門におけるコスト削減に支えられてきた。変革という面から見ると、いわば「聖域」になってしまっている営業部門。多種多様な分野の企業の営業改革にかかわってきたボストン コンサルティング グループ日本代表の杉田浩章氏が、営業の変革のチャレンジへの具体的な方法論を紹介。第1回は、日本の製造現場を支えてきたTQM(総合品質管理)を営業現場にも導入することを提案する。

組織としての「型」を埋め込む

市場が成熟し、競争が激化する今日、一握りの優秀な営業担当者に頼っていては、高い営業生産性を維持することはできない。全員が一定の能力を均質的に発揮する営業組織を持つことが、勝ち残る企業の必要条件となる。そのような営業組織を実現するためには、日本企業のお家芸である生産現場におけるTQMのように、科学的データに基づきながら、持続的な生産性の向上を実現できる管理手法が有効だ。

TQMとは、QCサークルなどの小集団活動を通じて品質の維持・向上を目指す、全社的な品質管理運動のことである。かつてはTQCとも呼ばれていたが、近年になって、品質にとどまらず、サービス業務やマネジメントの質の向上をも包含する概念としてTQMと称されるようになった。

1960年代以降、日本の製造業が躍進した背景にTQMがあったことは言うまでもない。そもそものきっかけは、アメリカの品質管理の専門家であるエドワード・デミング博士が敗戦後間もない日本を訪れた際に、日本の生産現場に統計を用いた品質管理手法を広めたことにある。

以来、製造業各社は博士の教えを守り、品質や生産性のバラツキを生産現場から徹底的に排除する努力を積み重ねてきた。日本の工業製品はやがて、世界一流の品質と価格競争力を獲得し、輸出競争力を高めていった。資源小国の日本がきわめて短期間のうちに世界第2位の経済規模にまで成長できた原動力は、TQMにあったと言っても過言ではない。

そのTQMの考え方を営業現場に持ち込むことで、営業組織特有の保守性を打破し、意識変革と体質改善の起爆剤にできると、我々は考えている。営業TQMは、営業現場に組織としての「型」を埋め込み、規律をもたらすものだ。営業TQMで取り組んでいくことは大きく3つある。

(1)新しい環境に即した営業価値メジャーを定義し、達成KPIをセットすること

(2)それに向かって具体的な方法論(戦略)を策定し、行動KPIをセットすること

(3)行動を習慣化させるためのマネジメント体制を整備すること

図1 営業TQMの全体像

これらの一連の取り組みをPDCAサイクルによって進化させていくことで、他社には真似できない、ユニークな組織的な営業力が培われていく。

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