日本企業の利益率が国際的に見て低水準にあることは周知の事実です。さまざまな場所で議論されています。リーマン・ショックの時期を入れると、かなりデータの上げ下げがあるので、まずはそれ以前のデータで確認してみましょう。
1985年から2006年までの上場企業の平均ROEは、米国企業が10.5%、ドイツ企業が7.8%、フランス企業が10.3%、イギリス企業が9.5%です。それに対して、日本企業は5.0%に過ぎません。これは21年間の平均値ですから、異常値とは言えませんし、会計基準の変更や特殊な要因の影響も弱いでしょう(中野[2009])。日興アセットマネジメントの神山直樹氏による1995年から2012年までの計測値によっても、日本のROE平均値3.60%、米国11.44%、欧州10.03%と報告されています(神山[2013])。
最近のデータとして、伊藤レポート(2014)が2012年の国際比較データを示しています。日本は全体で5.3%です。それに対して、米国は22.6%、欧州は15.0%です(下図)。日本企業のROE水準は欧米の3分の1、4分の1ですから、「ローリターン」であることは紛れもない事実です。日本企業の収益性、リターンは低いのです。
ROEの国際比較(2012年)
出所:経済産業省「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクト(2014)『最終報告書(伊藤レポート)』