Brexit(英離脱)ショック 企業の選択

データ、特許、M&Aにも目配り必要 みずほ総合研究所 上席主任エコノミスト 吉田 健一郎氏

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「サービス」の自由移動については、英国が欧州連合(EU)を離脱した場合、金融サービスのEU顧客への継続的な提供ができるかどうかが主要な論点となる。サービスの自由移動については、現在、EU運営条約第49条において開業の自由が認められ、同56条においてサービスの自由な提供に対する制限が禁止されている。

「サービス」の自由移動が制限されることの影響

英国のEU離脱に伴い、金融以外のサービスの自由な提供にも制限がかかる可能性があるが、日本企業に的を絞れば、EUへの金融サービスへの影響が最も注目される点であろう。

これまで英国において単一パスポートを取得し、他のEU加盟国に金融サービスを提供していた金融機関が、今後同様のサービスを提供しようとする場合は、英国以外のEU加盟国でパスポートを取得しなおす必要が出てくると予想される。

現時点で不明なのは、仮に預金貸金などのサービスをEUの顧客に対して提供するために、英国以外のEU加盟国で新たに現地法人を設立してパスポートを取得し直す場合、単に申請を行って法的な位置づけを変えるだけで済むのか、人的な移動や資本の積み増しなど、組織実態の移動を伴う業務移転がどこまで要求されるのか、という点であろう。

また、英国以外のEU加盟国でパスポートを取得しなおす動きが、邦銀や米銀など第三国の金融機関で加速した場合、パスポート権が承認されるまでにどの程度の時間がかかるかも明確ではない。

英フィナンシャル・タイムズ紙は、「平時」ではパスポート取得には申請に2~3カ月程度、その後の承認には6~9カ月の時間がかかるとの法律事務所による分析を紹介している。

「早くて2年後」という英国のEU離脱に向けた時間軸と、多くの金融機関がパスポート申請を行い、ホスト国の手続きが混雑する可能性を考えれば、パスポート取得が必要な場合は、早期に手続きを開始する必要がある。

「データ」の移動にも制限がかかる可能性

「ヒト・モノ・カネ・サービス」が自由に移動する裏では、個人情報など大量の「データ」が行き来している点も忘れてはならない。

現在、日本における「個人情報保護法」に該当するEUのデータ保護関連法制は「EUデータ保護指令」であるが、2018年5月より同指令に代わり、「一般データ保護規則(GDPR)」が施行される予定である。英国がEUから離脱すると、GDPR上は「第三国」として認識されるために、従来同様の個人情報の移転ができなくなる可能性がある。

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