職場がヤバい! 不正に走る普通の人たち

大義なく「会社の数字」を汚す時代 前田 康二郎氏

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会社の不正は、どのような心理状態、どのような組織体制で発生しやすいのか。また発生したとき、口止めされたとき、強要されそうになったとき、それぞれどのように対応すればよいのか。経理の専門家として数多くの経験を重ねてきた筆者が、不正に走る普通の人たちの実態を具体的に紹介します。

会計不正や粉飾に単独犯はあり得ない

不正会計、不正経理、粉飾決算......。いろいろな言われ方がありますが、これまでも、今も、そしてこれからも、組織ぐるみの不正は行われ続けることでしょう。

「会社の売上や利益の数字をいじる」不正に単独犯はあり得るのでしょうか。私の経験からすれば、それはまずないと思います。なぜなら、組織の数字は簡単に不正できない仕組みになっているからです。つまり「共犯者」が必要なのです。組織では、仮に誰かが不正な数字を申請しても、あるいは後から意図的に操作をしても、通常は、社内に二重、三重のチェック機能があります。そのほかにも税理士や、上場企業であれば会計士などの外部のチェックが入ります。

冷静に考えればわかりますが、一兵卒にすぎない社員が単独で、自分の上司や役員、社長、士業の先生を手のひらの上で転がすようにして騙すことなど絶対に無理。二重、三重のチェックをすり抜けるには、2人以上の「共犯」が必要になります。

このように「会社の売上や利益の数字をいじる」不正というのは、単独犯でも可能な横領や着服といった「会社のお金を盗む」不正よりもハードルが高くなります。

たとえば、私がある会社の管理職だとして、架空の3000円の打ち合わせ代の領収書を作って申請したらどうでしょう。3000円程度なら自分で決裁が可能かもしれませんし、社長に提出しても、普段の品行に問題がなければ、信頼関係上、根掘り葉掘り聞かれることなく承認してくれるでしょう。毎月1枚それを繰り返し、1年経てばちょっとしたへそくりにもなることでしょう。

一方で、もし私が架空の仕訳を入れて会計データを操作したらどうなるでしょうか。会計データは経理部の社員で共有されていますから、売上や利益が突然変わったことに違和感を覚える人が出てきます。そして、税理士や会計士のチェックが入ります。当然、その人たちによって根拠のない仕訳はピックアップされていきます。社長も全体の数字を見ます。「たくさんの目」をかいくぐらないと、会計データ、帳簿の不正というのはできないのです。その全員が「騙される」ということは、通常困難であることがおわかりいただけるでしょう。

結局、不正事件は、各人のチェックミスで見抜けなかったというよりは、本来はけん制し合うはずの社内外のチェック体制に何らかの事情で調整が入った、と考えるのが自然なのかもしれません。では、何のために、そこまでして不正をしなければならないのでしょうか。

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