トランプ政権で日本経済はこうなる

なぜ日本の金融市場に激震が走ったのか 熊谷亮丸 氏 + 大和総研

経営

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

「波乱はなしだ!」

人気漫画『スラムダンク』の一場面だ。高校バスケットボールの全国大会の2回戦で、絶対王者とぶつかった主人公の高校。前半は善戦したものの、後半に大きく引き離されたときに、ライバルチームの監督が発した一言である。

「米国大統領選挙でヒラリー・クリントンが勝利する確率は約90%」

2016年11月8日の米国大統領選挙の世論調査の結果を見て、大多数の人が思ったに違いない。「波乱はなしだ!」と。

日本経済に起こった「まさか」を検証する

日本の国民も固唾を飲んで米国大統領選を見守った

日本の国民も固唾を飲んで米国大統領選を見守った

しかし、当日、投票箱のふたを開けてみると待っていたのは、「まさか」であった。

運命の11月8日(日本時間11月9日)。世界で最も早く米国大統領選挙の結果を反映する主要市場は東京市場であった。

前日までは、クリントン優勢との報道を好感し、為替市場では円安・ドル高が進行し、株式市場では日経平均株価が上昇基調をたどるなど、楽観ムードが漂っていた。

しかし、現地で開票が始まり、日本時間の9日午前9時半過ぎに「激戦州のフロリダでトランプが優勢」と報じられたのをはじめ、その他の激戦州でもトランプの勝利を伝える報道が続いた。為替市場ではあれよあれよという間に円高・ドル安が進行し、日本株には強烈な売り圧力がかかった。

この日の日経平均株価は一時1000円を超える大幅安を記録。終値で見ても、2016年6月24日(日本時間)の英国のEU(欧州連合)からの離脱、Brexit決定以来の大幅安に見舞われた。

トランプが米大統領選を制したとの報道を受けて、なぜこれほどまでの激震が日本の金融市場を襲ったのだろうか?

その理由を一言で言えば、「不確実性の急激な高まり」とまとめられる。

選挙期間中、トランプが大統領候補らしからぬ放言を繰り返し、多くの投資家が真意を測りかねていたところ、彼の予想外の勝利によって先行き不透明感が急速に強まった。

株式投資をはじめとした投資の第一のセオリーは、「経済動向の先行きが読みづらい局面においては、価格変動リスクの高い資産から投資資金を引き揚げておく」ことである。

トランプは大統領就任後、超大国である米国をどこに向かわせるつもりなのか? 荒唐無稽とも思われる政策を、本当に実現させるつもりなのか? トランプは円高圧力をかけてくるのか?

不測の事態に直面した機関投資家や個人投資家たちの間に、一気にリスクオフ(危機回避)ムードが広がったのも無理はない。

しかし、東京市場の取引が終了し、欧州、そして米国の株式市場で取引が始まると、ムードは一変し、株価は上昇した。トランプの勝利によって、米国経済の先行き不透明感が強まったという前提は同じであるにもかかわらず、だ。

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

経営

関連情報

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。