「攻めのガバナンス」実現への道

東芝にみる経営者の「規律付け」の難しさ エゴンゼンダー代表取締役社長 佃 秀昭氏

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6月に導入された「コーポレート・ガバナンス・コード」は、上場企業に社外取締役を最低2名以上確保することを要請するなど、日本企業に「攻めのガバナンス」を促す内容だ。本連載では、ガバナンス・コード導入を契機に、日本企業が「攻めのガバナンス」を如何に実現できるのかを論じる。今回は、前回取り上げた東芝の不適切会計問題について、その根底にある日本企業の企業統治上の問題を論じる。

優秀な経営者を輩出し、規律付けられるか

記者会見で新体制を発表する東芝の室町正志会長兼社長(2015年8月18日)

記者会見で新体制を発表する東芝の室町正志会長兼社長(2015年8月18日)

東芝の新しい社外取締役と取締役会の体制が発表された。前回の記事「優等生・東芝『魂なき企業統治』の末路」で筆者が指摘したとおり、企業経営者出身の社外取締役を3人招へいする。社外取締役の数を全体の過半数とし、議長も社外取締役から登用する。前回比較したソニーにならった体制となる。

前回、東芝問題は社長の人選を中心とする企業統治の問題であると指摘した。企業統治の本質は「優秀な経営者を選び、その経営者を中心とする経営陣をしっかりと監督すること」にある。つまり、経営者の規律付けだ。正しい経営陣幹部の選解任は、取締役会の最重要課題のひとつである。

東芝はどうだったか? 残念ながら社長の人選を誤った。3日間で120億円の利益改善指示をするなど、インテグリティ(真摯さ)の欠如が明らかになった。社長の人選ミスは取り返しがつかない。欧米と異なり、日本では取締役会による経営トップの解任はほとんど不可能だ。

東芝は経営者を監督することにも失敗した。指名委員会等設置会社という機関設計をとりながら、社外取締役を元外交官や学者で固め、しかも取締役のうち大多数を社内取締役で構成することで、取締役会が形骸化し、機能しなかった。

東芝問題は東芝における2つの大きな課題を浮き彫りにした。第1は、優秀な経営者を輩出できていないこと。第2に、経営者の規律付けができていないことだ。

他の多くの日本企業も東芝と同じ課題に直面している。日本企業は、これら2つの根本的課題を解決する必要がある。さもないと日本企業の成長戦略実現や持続的な企業価値の向上はおぼつかない。そこで以下では、これら2つの課題について考えてみたい。

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