投資レジェンドが教える ヤバい会社

成功する社長は「ケチ」「メモ魔」「細かい」 レオス・キャピタルワークス代表取締役社長 藤野 英人氏

経営

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

会社の本質というものをこの目で見ることはできませんが、可視化された事象をつぶさに確認していけば、そこから優れた企業かどうかを見極めるヒントを得ることができます。企業の性格を決める最大の要因は、会社のリーダーである「社長」。前回に続き、リーダーの言動についての法則を見ていきます。

アバウトな経営者は成長持続せず

成功する社長は「メモ魔」が多い

成功する社長は「メモ魔」が多い

成功している経営者の方とたくさんお付き合いしていると、成功企業の社長の中には、どれだけ経費を抑えているか"ケチ自慢"をする人もいます。これは、経営者としては正しいスタンスです。もともと倹約家で、タクシーすらほとんど乗らないという人もいます。私が見るところ、ハイヤーを好むのはサラリーマン経営者のほうが多く、また会社の経費に無頓着な人も少なくありません。

ケチな社長は、その面では社員からは不人気かもしれません。しかし、経営者としてはそれくらいのほうがいいのです。利益を生み出すには、売り上げを上げるか、コストを下げるかしかありません。あの日産のカルロス・ゴーン会長がかつて「コストカッター」という異名を持っていたことからもわかるように、コストを常に意識することによって会社の利益が上がるケースが多いのです。

コストに口うるさい社長の下で働いている人は「社長がケチでよかった」と考えるべきでしょう。もっとも、その場合簡単には給料を上げてもらえないでしょうから、上場企業なら自社株を買い、社長の"ケチケチ運動"による利益を享受することを考えてもいいかもしれません。

また成功している経営者は「細かい」人が多いことも特徴です。お付き合いしていると、常に細部にまで気を配り、何事も徹底的に改善しようとする人ばかりであることがわかります。

経営者というと豪快なイメージを持つ方もいると思いますが、ビジネスの場ではすみずみまで目が行き届くタイプがほとんどで、まず例外はありません。多少アバウトな経営者が上場にまでこぎつけることも皆無ではありませんが、持続的に成長はできません。これはおそらく、厳しい競争を勝ち抜くには、いい商品やサービスをより低価格で提供することが求められるからでしょう。それは、小さな業務改善の積み重ねが可能にします。

「神は細部に宿る」という言葉の通り、小さなこと一つひとつに気を配っているかどうかに本質的な意味があるのだと思います。

もうひとつ、経営者の方と接していてわかるのは、成功している人ほど、有用な情報を逃さず細かくメモをとっているということです。誰かと対談している最中はもちろん、食事中などでもさっと手帳を取り出してメモしたり、携帯電話に録音したりして、こまめに記録しています。

有名なところでは、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブの創業者、増田宗昭氏がメモ魔です。講演会で話している最中や、枕元にもメモが置いてあってしょっちゅうメモしているそうです。

他にも、GMOインターネットの熊谷正寿会長やソフトブレーンの元会長である宗文洲氏もメモ魔で有名です。

新規事業のアイデアや、やるべきタスク、心に響いた言葉まで常に情報に対してアンテナが立っているのは、「貪欲に学ぼう、成長しよう」という意欲の表れで、成長する会社のリーダーとしてふさわしいと思います。私はいつでも、このようなリーダーが率いる「成長する企業」への投資をしていきたいと思っています。

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

経営

関連情報

新着記事

もっと見る
loading

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。