肖敏捷の忠言逆耳

急増する中国の海外投資、その意味するところは......。 SMBC日興証券 中国担当シニアエコノミスト 肖 敏捷(しょう びんしょう)

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1990年代、社会人になったばかりの筆者はこっそり楽しみにしていた1つの仕事があった。多忙な会社の偉い人たちの代わりに、中国の地方政府などが東京で開催する投資誘致セミナーに出席することだった。

都内の名門ホテルで中国地方政府による投資環境の説明を一通り聞いた後、盛大な立食パーティーに出席するのが楽しみだった。中国経済や投資環境に関する勉強、および地方政府の皆さんとの人脈作りのよいチャンスだったのは言うまでもなく、大きな声では言えないものの、学生時代ではあり得なかった高級ホテルでの食事は、やはり素直に嬉しかった。

中国の海外投資が海外からの中国投資を逆転

ピーク時にこのようなセミナーは、週に3回ほど出席した覚えがある。しかし、いつの間にか、このようなセミナーの案内が途絶えてしまった。筆者の下心が見破られたのか、一抹の不安があった。

中国商務部の統計をみると、筆者の心配は余計なものだった。地方政府の皆さんの努力で、海外企業による対中直接投資額は1990年代の年間400億米ドル前後だったが、2008年以降、1000億米ドルを超える大規模なものに至っている。

近年、様々な原因で日本企業を含む海外企業による対中直接投資はかつての勢いを欠いていると指摘されているが、中国は米国などに続き、依然有力な直接投資の受け入れ先であるのは確かだ。

一方、この統計で注目すべきは、中国企業による海外への投資が急増していることだ。2002年、海外企業による対中投資額は527億米ドルだったのに対し、中国企業による海外への直接投資額は僅か27億米ドルに過ぎなかった。

しかし、2015年になると、前者が1356億米ドルで後者が1457億米ドル、史上初めてかどうかは断言できないが、両者の逆転現象が起きたのは異例中の異例である。地方政府などがはるばると日本を含む先進国を歴訪し、対中直接投資を誘致する時代がとっくに終わり、中国企業の関心が既に海外への投資に移っている。

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