肖敏捷の忠言逆耳

個人も政府も企業も不動産で潤う異様な中国 SMBC日興証券 中国担当シニアエコノミスト 肖 敏捷(しょう びんしょう)

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長年、中国の不動産政策をウオッチしてきた筆者がずっと不思議に思っていることが1つある。それは、住宅政策の中には必ずと言っていいほど、購入件数に関する表現が盛り込まれることである。

中国の住宅需要には、投資需要が多く含まれている?

例えば、低迷する住宅市場を刺激しようとするなら、購入件数に関する規制が大幅に緩和され、2軒目以降に適用される頭金比率も引き下げられる。逆もそうだ。しかし、恐らくほとんどの人にとって一生に一度で、しかも人生最大の買い物であるはずの住宅購入に対して、なぜわざわざ件数規制が設けられるのか?

当初、筆者が聞いた最も納得できる回答は以下のものだった。昔から、都市部に住んでいた国有企業の従業員や公務員などは勤務先から福利厚生として宿舎が提供されていたが、90年代後半以降、国有企業から住宅が払い下げられ、かなりの格安値段で買い取った個人が少なくなかった。

そういえば筆者は、両親が国有企業の従業員のため、高校までずっと「福利区」と呼ばれる会社の社宅団地に住んでいた。安かろう悪かろうで、お世辞にも快適と言えるものではなかったが、会社から支給されるだけまだ恵まれた方で、両親からは「足るを知るべし」とよく言われた。

こういった経緯で買い取った住宅は1軒目と認定されるケースが多い。2000年以降、住宅市場から直接住宅を購入できるようになったのにつれ、老朽化した1軒目を処分し、買い替えを検討する人が増えてきたのは当然の成り行きだ。この買い替えはほとんどの人にとって、本当の意味での初めての住宅購入なのだが、規定では2軒目の住宅購入と見做された。住宅供給が圧倒的に追いつかなかった当初、1軒目すら持っていない人たちの購入を優先させるため、当局はこのような件数規制を導入せざるを得なかった。

しかし、その後、中国の住宅事情が大きく改善してきたにもかかわらず、件数規制が依然残っている。それは、なぜなのか? それは、株式や理財商品(中国で、主に個人投資家向けに販売される人民元建ての資産運用商品のこと)などと同様、投資対象として住宅を購入する人が増え始めているためだ。

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