肖敏捷の忠言逆耳

中国経済の良い変貌、悪い変貌 SMBC日興証券 中国担当シニアエコノミスト 肖 敏捷(しょう びんしょう)

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日頃、日本人の顧客から、「中国はしばらく行かないとどんどん変わる」という中国の変化の速さに驚く声をよく耳にする。もちろん、日本人からだけでなく、留学や仕事の関係で海外に暮らす中国人からも、中国に帰省して故郷の変貌ぶりに驚いたという話を聞く。そのほとんどの場合、ダイナミックに変化する中国への賛辞を込めた感想である。

もう限界、大型の都市開発や地域開発による変化

確かに、中国では高層ビルやショッピングセンター、交通インフラなど、都市の近代化が急速に進展し、人々の生活がどんどん便利になっている。1980年代末、日本に来た筆者が新宿の高層ビル群に目を見張り、ビル群をバックに撮った記念写真を家族や友人に送って、日本の発展ぶりへの驚きを伝えていたものだが、こうした発展が今、中国の各都市で起こっているのだ。この急速な発展による変貌は、中国経済の高成長のたまものであり、グローバル経済もその変貌から恩恵を受けている。

この変貌は、改革・開放政策が導入された1970年代末をスタートだとすると、もう40年近く続いているが、そろそろ落ち着いてほしいと思うのは、果たして筆者だけの気持ちなのか。というのも、技術革新や生活の質の向上などに資する変貌なら続いていくべきだが、残念ながら、中国のダイナミックな変化は大規模な固定資産投資によって成し遂げたものだからだ。言い換えれば、ビル建設や土木工事を含む大型の都市開発や地域開発による変化が限界に達しているということだ。このような現状を中国の固定資産投資統計から考察してみよう。

名目GDPの約8割に相当する中国の固定資産投資

中国の固定資産投資統計には、インフラ整備や不動産開発、設備投資などが含まれる。2015年は都市部の固定資産投資額が55兆人民元(約920兆円相当)で、名目GDPの8割に相当する規模である。地方政府別にみると、固定資産投資額が名目GDPの9割前後に達したところが半数近くあり、名目GDPより固定資産投資額の方が大きい地方政府も珍しくない。

実際、1981年から2015年までの間、中国の名目GDP規模が138倍拡大したのに対し、固定資産投資額が776倍まで膨らんだ。固定資産投資の伸び率が名目GDPのそれを上回り続けてきているからだ。

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