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LGBTのカミングアウトと周囲の向き合い方 LGBT総合研究所 代表取締役社長 森永 貴彦

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性的マイノリティの総称として使われる「LGBT」は従業員、取引先、お客様、株主などあらゆるステークホルダーに存在しています。この連載では企業がLGBTにどう向き合うべきかについて解説します。第2回のテーマは「カミングアウトと周囲の向き合い方」です。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

カミングアウトと「クローゼット」

さて、これまで私は、100社近い企業に研修を提供してきました。研修後の質疑応答で必ず出てくる質問が「カミングアウト」についてです。カミングアウトとは、「Coming out of the closet」(クローゼットから表に出てくる)という言葉が短縮されたものです。このフレーズにある「クローゼット」という性同一性(性自認)や性的指向を隠している状態から、それを表に出した状態になる=打ち明ける、という意味を持つ言葉として使われています。

この言葉は、まだ多様性に非寛容だったアメリカ社会において、性的指向が同性だった人たちが「暗い押入れの中に閉じ込められている」と暗喩されていた時代に、「クローゼットの中から出て、真の姿を解放する」という意味でカミングアウトという用語が使われるようになったという歴史的経緯があります。社会の中で、自身のセクシュアリティをカミングアウトするという行為は、目に見えないアイデンティティだからこそあり得る、社会に対する重要な行為のひとつに当たります。これはとても勇気のいることで、特に、多様なセクシュアリティが理解されていない環境や、性的マイノリティが偏見や誤解に晒されていたり抑圧されていたりする環境下では非常に困難なものです。

カミングアウトを行うことは、非常にリスキーなことであり、当事者はカミングアウトをするか否かについて、非常に慎重に検討する必要があるとされています。また、どんなにLGBTや多様なセクシュアリティに理解がある環境下でも、カミングアウトは強要されるべきものではなく、その行為を行うか否かは、本人の意思が尊重されるべきものです。

そもそも、LGBTや性的マイノリティと言われる人たちにも、カミングアウトしたい人、カミングアウトしたくない人がいます。LGBT総合研究所の調査では、「仕事や生活に支障がなければカミングアウトしたい」と回答した人は41.5%でした(図表1)。

つまり半数以上のLGBTはカミングアウトを望んでいません。カミングアウトすることに対して、「職務上に全く無関係であるため、カミングアウトすることを望まない」「余計なバイアスをかけて見られる」「ネガティブな結果のリスクしかなく、(自身にとって)メリットがない」といった理由が挙がります。

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