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LGBTへの社内対応を進める3つのステップ LGBT総合研究所 代表取締役社長 森永 貴彦

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性的マイノリティの総称として使われる「LGBT」は従業員、取引先、お客様、株主などあらゆるステークホルダーに存在しています。この連載では企業がLGBTにどう向き合うべきかについて解説します。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

LGBTと向き合うロードマップとは

LGBTとの向き合いを始める企業にとって、一番初めに悩むことは「何から始めて、どこまで対応すればいいのか」「どんなロードマップを描けばいいのか」ということでしょう。ここでは、ダイバーシティ推進活動から、マーケティング推進活動までの一連の流れを3つのフェーズに分けて、取り組み施策をステップ論でお伝えいたします。

LGBTと向き合う前に最も重要な意識は「LGBTが過ごしやすい社会(職場)づくり」ではありません。「LGBTも過ごしやすい社会(職場)づくり」であることです。LGBTを特殊な人たちだと思い込んで、特別扱いとなるような施策設計は、ダイバーシティ推進の本質からかけ離れており、本末転倒です。

ダイバーシティ推進において最も重要なことは、異なるものを特別扱いするのではなく、互いを理解し合い、尊重しながら共存していくということです。重要なのは正しい知識と理解です。組織においてLGBTが当たり前に存在していると認識した上で、互いに向き合う環境を構築していくことを常に意識しましょう。

さて、早速ですが、LGBTと企業が向き合う3つのフェーズを図にします(図表1)。まずは「LGBTを正しく知る」、次に「LGBTの目を通す」、そして「LGBTの感性を活かす」の3つのフェーズです。この3つのフェーズは、段階的にステップを踏んで取り組む必要があり、何かを飛ばしたり、順番を変えることはお勧めしません。まずは正しい知識を理解し、その上で、当事者の視点で社内・社外の施策を見直し、改善したり、マーケティングにつなげていくという流れです。各フェーズの取り組み方は次の通りです。

(1) Diversity Phase(LGBTを正しく知る)

まずはLGBTに関する知識の理解を行います。多様なセクシュアリティがあること、LGBTとはどんな人たちなのかを職場全員が共通の理解を持つことが重要です。好き・嫌いを問うものでもなければ、受け入れる・受け入れない以前の問題で、誤解や偏見がない状況を職場に醸成していくことが目的です。どんなに企業がLGBTフレンドリーであると表明したとしても、実際に正しい理解が浸透していないと意味がありません。従業員や顧客に正しい理解が進んでいるかどうかは、当事者から見れば一目瞭然なので、このフェーズは決して疎かにしてはいけません。逆に、このフェーズの取り組みがしっかりしていれば、その先のアクションはスムーズに進んで行きます。

(2) Inclusion Phase(LGBTの目を通す)

正しい理解の次に、企業は社内・社外それぞれの取り組みを当事者視点で見直してみる必要があります。企業が従業員向けに整備している制度や規定などが、性差なく平等になっているかという視点でチェックするのと同様に、LGBTの従業員だと困ることはないかどうかを見直してみます。改善が必要な点があれば改善を図ります。この際、LGBT向けの特別な施策や制度づくりをする必要はなく、セクシュアリティの違いで、処遇が異ならないような平等化を意識する必要があります。社外向けの取り組みならば、提供するサービス・商品の見直しなども取り組む必要があります。広告表現において配慮がなされているか、男女二元論でサービスや商品が設計されていないかなど、当事者の視点でチェックをし直していくことが重要です。

(3) Innovation Phase(LGBTの感性を活かす)

当事者の視点で、社内・社外の取り組みを見直し、改善した後に、LGBTと共に新たな価値を創り出すことはマーケティング的なアプローチとして最大の魅力でしょう。LGBTならではの視点や発想を活かし、従来の価値観では生まれなかった新たな価値を作ることができます。

この際、ターゲットをLGBTに限定しないことが重要です。LGBTは特別扱いされることを望んでいるわけではありません。「LGBT向け」と謳った商品やサービスの提供は、当事者に困惑しか産みません。利用者となるLGBTが、その商品やサービスを利用することでカミングアウトにつながってしまうようなものは敬遠されることは自明でしょう。対応を急ぐあまり、正しい知識や理解なく取り組むことは、不用意に当事者を傷つけてしまうため、こうしたステップを守ることは非常に重要です。

次に具体的な取り組みについて、どのような可能性があるのかをご紹介していきましょう。

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