デジタルマーケティング 今を読む

顧客を創出 「AIファースト」の衝撃 ボストン・コンサルティング・グループ 森田章パートナー

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「モバイルファーストからAI(人工知能)ファーストへ」。米グーグルの宣言から2年。小売りの現場は激変した。アマゾンなどプラットフォーマーがデータ覇権を握り、巧みなマーケティングでライバルを揺さぶる。だが対抗の道はある。共闘する企業同士でデータを連携し、潜在的な需要を掘り起こせば新たな顧客を創出できる。AI技術者らのスタートアップ企業を援軍に頼むケースもある。国内外の現場に詳しいボストン・コンサルティング・グループの森田章パートナーに、デジタルマーケティングの最新動向を語ってもらう。

 新シリーズ「デジタルマーケティング 今を読む」は、企業戦略として顧客データ分析の知見を深めたい経営者やマネジメント層のために分かりやすく解説します。

■買い物は人物像を浮かび上がらせる

「買っている物から一人一人の人物像が見えてしまうのだ…」。世界的流通大手の担当者は意味深長な語り口だった。これを聞いて皆さんはどう思うだろうか。ドキッとするかもしれないし、そんなレベルに達している企業は多くないのでは…と感じるかもしれない。

アマゾンなどデータ活用の巨人のお膝元である米国では、デジタル技術を駆使するマーケティングが日本人の想像以上に隅々まで展開されている。例えばライフステージの変化に合わせたターゲティング(需要が見込まれる客層の絞り込み)。仕掛けはこんな具合だ。

会員登録をした消費者を購入商品の傾向からセグメント化する。その上で、来店や買い物の度にCRM(顧客関係管理)データを蓄積する。例えば、会員にネット上でクーポンを発行する際に、興味を持ちそうな商品を提案しその反応を探る。

この時「あなたはこういう健康状態ですね?それではこの商品はいかがですか」と言ったダイレクトな問いかけ方はしない。購買履歴からかなり具体的な提案をされると、消費者は不気味に思ったり、場合によっては反発したりするからだ。

提案はそれとなく慎重に。そして直後の購買行動でターゲティングを裏付けする。消費者の人物像が形作られ、販促が的を射るようになる。例えば購買行動により乳児がいることがわかれば、ミルクなどの必要な商品を提案できるようになるのだ。

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