ビジネスリーダーのためのCSV超入門

「公器の経営2.0」の時代がやってきた(前編) クレアン サステナビリティ・コンサルティンググループ CSV/シェアード・バリュー コンサルタント 水上武彦氏

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CSVへの3つのアプローチ

こうした流れを受けて出てきたのが、CSVです。ハーバード大学のマイケル・ポーター教授らが体系化しました。基本思想は、前述のとおりですが、ポーター教授らは、これまで提唱してきた経営戦略のコンセプトを応用し、CSVを具体的な3つの方法に落とし込んでいます(図表4)。

図表4 CSVの3つの方法

1つ目は、「社会問題を解決する製品・サービスの提供(製品・サービスのCSV)」です。前述のGEのエコマジネーションに代表される環境問題を解決する製品、その他、安全、健康、衛生など、様々な社会問題の解決を事業機会とする製品・サービスの提供です。

2つ目は、「バリューチェーンの社会価値創造を通じた競争力強化(バリューチェーンのCSV)」です。調達、物流、生産、販売、人材管理などの企業活動(バリューチェーン)において、社会への貢献と競争力強化を両立するものです。エネルギーや資源の効率利用によるコスト削減、サプライヤー支援による生産性向上などが、分かりやすい事例です。

3つ目は、「事業展開地域の発展支援、社会問題解決支援を通じたビジネス環境整備による競争力向上(ビジネス環境のCSV)」です。企業は単独で価値を生み出しているわけではなく、人材、インフラ、サプライヤー、規制や事業慣行、あるいは水などの自然資源等、様々なものに支えられ影響を受けています。こうした企業の活動を支えるビジネス環境は、地域社会の発展と密接に関連しており、ビジネス環境を整備し競争力を高めつつ、社会にとっての価値を生み出すことができます。

後編では、このCSVの3つの方法の具体的な内容や事例と、CSVをどう実践するかを説明したいと思います。

水上武彦氏(みずかみ たけひこ)
運輸省(現国土交通省)で日米航空交渉、航空規制緩和等主要航空政策を担当。経営コンサルティング会社アーサー・D・リトルで製造業を中心とした幅広い経営戦略プロジェクトに従事した後、クレアンに参画。現在は、事業を通じた社会問題の解決を目指す戦略であるCSV(Creating Shared Value)およびCSR全般のコンサルティングを主業務とする。東京工業大学・大学院、ハーバード大学ケネディースクール修了。主な著書に「CSV経営」(共著)、「環境でこそ儲ける」(共著)など。

キーワード:経営、企画、経理、経営層、グローバル化、人事、人材、働き方改革、CSV、CSR、ESG、ソーシャルビジネス

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