予防医学者の石川善樹氏がさまざまな分野のエキスパートと対談しながら、脳とうまく付き合う方法を探る連載シリーズ。第5回のお相手は東大卒のプロゲーマー、ときど氏です。子どもの頃、自分もゲームに熱中したという石川氏は、安定した職を選ばず、腕一本の世界に賭ける、ときど氏の生き方に以前から注目していたそうです。人はなぜゲームにはまるのか、勝ち続けるには何が必要か、最強を極めるとはどういうことか――格闘ゲームさながらの熱い議論が戦わされました。
文句を言わせないために東大へ
石川 善樹氏(いしかわ よしき)
広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして学際的な研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、マーケティング、データ解析等。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『疲れない脳をつくる生活習慣』(プレジデント社)、『最後のダイエット』『友だちの数で寿命はきまる』(ともにマガジンハウス)など。
石川 日本でプロゲーマーといえば、梅原大吾さんが第一人者と言われています。日本初のプロゲーマーで、ときどさんと同じチームに所属していたこともある先輩ですよね。実は僕、高校生のときに梅原さんと格闘ゲームで対戦したことがあるんですよ。
ときど えっ、ほんとですか?
石川 ええ、もちろん負けたんですが、その理由が全くわからなくて......。それまでは勝っても負けても原因がわかってたんですけど。「こりゃ、かなわんな」と思って、別のゲームに「戦場」を変えました(笑)。
ときど どんなゲームをやってたんですか?
石川 「ワニワニ・パニック」って、知ってますか?ワニが岩から出てきて叩くというゲームです。
ときど はい。だいぶマニアックですけどね(笑)。
石川 僕は「ワニパニ」と呼んでました(笑)。やっぱりゲームはとんでもなく楽しいんですが、「このままゲームをやってて将来どうなるんだろう?」と悩むことも多く、結局、ゲームをやり続ける自分を信じ切れずにやめてしまいました。ときどさんはどうしてプロゲーマーになろうと思ったんですか?
ときど いつも聞かれますが、答えるのが難しいんですね。子どもの頃からずっとゲームをやってきて、いまだにやりたいと思ってる。「お子ちゃま」みたいな精神の持ち主なんです(笑)。東大に行ったのも、「あそこに入っとけば、ゲームやっても誰も文句言わないだろう」という気持ちからでした。それと、世間がゲームを見る目を変えたいという思いもありましたね。「こんなやつもいるんだぞ」と。
石川 子どもの頃はどんなゲームをやってたんですか?
ときど ずっと格闘ゲームです。少しだけ、「ドラゴンクエスト」のようなロールプレーイングゲームもやりましたけどね。
石川 どんな遊び方をしてたんですか? というのは、大人から見ると子どもは同じようにゲームをしているように見えますが、楽しみ方にはいろいろ個性があると思うんですよ。
ときど たとえばどんな風にですか?
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