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ケース35:降格・降給!これだけある準備すべきこと 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

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今回の悩める経営者:アラタ商事 代表取締役社長 安良田あらた新太あらた(51歳)

相談内容

 先生、こんなくだらねえ話、まともに取り合う必要あるんですかねえ。

 いや、できねェ、ヤツなんですよ。本人も、まあ、自分のことですからわかっていると思いますよ。

 本当はクビにしたい。でも、そんな乱暴なマネ、いまどき、どの会社もできねえ、ってことくらいわかっていますよ。だから、温情で、降格し、給料減らしても食わしてやっているんですよ。ところが、コトもあろうに、降格も、給料減額も気に食わねえって、弁護士立てて噛みついてきやがった。

 この弁護士ってのが実に忌々(いまいま)しいヤツで、「理由は?」「根拠は?」「基準は?」と畳み掛けるように、質問攻めの内容証明ですよ。

 こんな話、いちいち先生にお出ましする必要もねえかと思い、人事部長を窓口に対応させていました。そしたら、この前、「直談判だ!」とか言って、弁護士が乗り込んできて、あれこれ話が始まったもので、いても立ってもいられなくなって、途中から私も参戦しましたよ。

 「仕事ができないことは皆認めているし、上司の査定からも明らかじゃないか。仕事をほったらかしで帰ってしまう。当然、周囲は大迷惑です。皆、『あんな奴と仕事したくない』って口を揃えて言ってます。基準? そんな基準なんて、どうやって作れってんですか。仕事のデキる、デキないなんて、モノサシで測って、マルとかバツとか、って無理でしょ。クビにしないだけでもありがたいと思ってもらわないと」と言ってやりましたよ。

 そしたら、相手の弁護士、「はあ? 基準がないのに、良いとかダメとか、そんなデタラメなことやっているんですか? 独裁国家でもあるまいし、そんな下品で強権的なやり方で、降格させたり、給料を減らしたりして、いいと思ってんですか」とかいい始める。

 まあ、すったもんだやりやった挙句、相手も疲れて折れてきて、降格してヒラになるのは仕方ないし、役職手当がなくなるのもいいが、基本給を下げるのは断じて許せないし、ここはきっちりと評価基準ないと認められない、というところで一旦休戦です。本人は、ケロッと翌日から、通常通り出勤してやがる。でも弁護士からは、評価基準なしの基本給減額の撤回をしない限り、裁判起こす、とせっついてくる。

 我が社のやっていることって、そんなにダメなんでしょうか。

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