経営トップのための"法律オンチ"脱却講座

ケース32:法務部って何するところ?必要なの? 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

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今回の経営者・斎藤社長への処方箋

結論から言いますと、韮泉さんの戯言は、120%無視して結構です。

法務部といっても、会社法で設置を強制されているわけでもなく、なけりゃ法令違反という類いのものでもありません。それぞれの企業が、企業毎の事情と懐具合で決めて差し支えないものです。

御社の場合、先代が意識してそうしたのか、なんとなくそうしたのか不明ですが、安全保障体制として、バチカンあるいはモナコのような、「傭兵を活用したお手軽で低コスト」な安全保障体制を選択されたわけです。すなわち、有事発生の蓋然性がそれほど大きなものではなく、売上利益率が良好な商売でもなく、懐具合にさほど余裕があるわけではない。また、有事が発生した際の想定についても、先代は、「それほど旨味のある商売でもないし、商売続けられないようなトラブルに見舞われたら、任意整理か民事再生で再建してみて、それでも再建できないようなら、とっととたためばいいし、それで世間にも社会にも迷惑かけることにならない」と達観していましたから、究極的なダメージ想定まで、できていたわけです。もちろん、そんな存立危機事態になっても、私が徹底的にジタバタしますし、あっさりと破産させないよう、ありとあらゆる方策を考えますよ。

いずれにせよ、当事務所が、いざ有事が発生した場合の傭兵機能を担いつつ、久保田君と連携して、デイリーの治安維持や警備や記録・文書管理などといった予防法務等のルーティンを機能分担して遂行する体制がありますし、この上に、さらに、コストとエネルギーをかけ、どの程度貢献できるか不明なチームを作ることまで要らないのではないでしょうか。

無論、懐具合と見た目と対外的なイメージで考えてみてもいいですが。銀行派遣の役員ですので、銀行が融資を継続するために、必須の前提として、強く強制しているなら別です。しかし御社の法務体制に致命的欠陥がある、といった話が銀行から言われたわけではなく、韮泉氏の法務組織構想が、知り合いを中心とした就労対策ということが露骨に現れていることから単に調子に乗っているだけでしょう。いずれにせよ、御社にとって喫緊の課題は、「富の蓄積」です。この課題にこそ、もっと力を入れるべきです。

畑中 鉄丸(はたなか てつまる)
弁護士・ニューヨーク州弁護士。東京大学法学部在学中に司法試験(日本)及び国家公務員試験1種に各合格。新日本製鉄勤務等を経て、弁護士登録し、1998年に渡米。ペンシルバニア大ロースクール(修士課程)留学、ニューヨーク州司法試験合格後、Kirkland&Ellis法律事務所勤務等を経て、弁護士法人畑中鐵丸法律事務所を設立し、現在に至る。多数の企業・医療機関・学校法人等の顧問弁護士を務めるほか、日本弁護士連合会債権回収に関する委員会(サービサー委員会)前委員長、日本商品先物取引協会あっせん・調停委員、日本商品先物取引協会・自主規制委員会委員、一般社団法人ニューメディアリスク協会理事、子ども安全学会理事長等を歴任。著書は「企業法務バイブル」シリーズ(弘文堂)、「戦略的コンプライアンス経営」(弘文堂)、「ビジネス契約実務大全」(企業研究会、分担執筆)、「法律オンチが会社を滅ぼす」(東洋経済新報社)、「こんな法務じゃ会社がつぶれる」「生兵法務は大怪我のもと!」(第一法規)、「ヤヴァイ会社の死亡フラグ10」(経世出版)等多数。最新刊は「こんな法務じゃ会社があぶない」(2016年4月、第一法規)。

キーワード:経営、マーケティング、グローバル化、働き方改革、人材、イノベーション、経営層

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