経営トップのための"法律オンチ"脱却講座

ケース34:団体交渉!恐れず甘く見ず 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

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今回の悩める経営者:数寄村物産株式会社 代表取締役社長 数寄村すきむら泰蔵たいぞう(36歳)

相談内容

 せ、先生、助けてください。

例の、ほら、労働組合との団体交渉の件ですよ。

いや~~~、私も甘かった。いきなり、我が社に、「全日本ブラック企業撲滅労働組合」ってところから、団体交渉要求通知が来たのは、先生も覚えてますよね。

 半年前に営業に入ってきた中途採用の女性社員で、見捨浦(みすうら)靖子(やすこ)ってのがいるのですが、見た目はインテリっぽいんですが、仕事を始めると、全くデキなくて手を焼いていました。突然、「パワハラされた」「セクハラされた」といって、鬱になって心療内科通いますとか言い出し、欠勤が続き、そのうち、すっかり会社に来なくなって、「あいつ、辞めたんじゃないか」とか思ってたら、いきなり、団体交渉って話になっちゃった、っていうトラブルですよ。

 当初、先生から、「これは、想像以上に厄介だと思います。特に、合同労組とか、独立系労組といわれるところは、交渉のプロで駆け引きが巧みですから、手強いですよ。イージーな気持ちで臨んだら、大変な目に遭うかもしれませんよ」と警告と助言と受任のご提案までいただきました。

 でも我が社の人事部長と、懇ろにしている社労士が、「畑中先生のところは、なんでも難しい、厄介、を連発してますが、オーバーに言っているだけですよ。相手も同じ人間ですよ。そんな大事になるわけないじゃないですか。話せば分かります。経費を安くあげますから、私達におまかせください」と先生のところをお断りしろ、としつこく言うもんで、労務部長と、知り合いの社労士と、その社労士のさらに知り合いの弁護士とのチームで対応させました。今思えば、それほど大事と思えなかったのと、費用を少しでもケチろうという貧乏性が出たのが原因かもしれません。

 で、結果といえば散々で、相手から、不勉強だ、不誠実だ、制限団交だ、交渉拒否だと、威圧的にダメ出しされる。少しでも言い返そうものなら、「東京都労働委員会に団体交渉をします」「交渉を拒絶されたということで、争議に移行します」と言い放たれ、押されっぱなし。

 あげくの果てに、「ここは、労使円満な合意によって小異を捨て、大同に和すべきでしょう。セクハラもパワハラも認め、慰謝料と見捨浦さんが休業していた賃金を支払って、職場復帰も認めましょう。希望ということでする配転もかなえましょう。労務コンプライアンスを強化するため、労働組合の方から社外役員を招聘すべき、という提案があるので、こちらもご検討された方がよろしいかと・・・」と社労士チームが言ってくるんです。

 「そんな話認められるか!交渉やり直してこい!」と言ったら、今度は、「じゃあ、労働委員会で不当労働行為っていわれても仕方ないですね」「争議行為になりますよ」「どうなっても知りませんよ」と逆に言い返される始末。 

 先生、今更ながら、ですが、なんとかしてよ!お願いっ!

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