経営トップのための"法律オンチ"脱却講座

ケース31:不動産保有会社を格安M&A? 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

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今回の経営者・富沢社長への処方箋

社長、M&Aという取引形態そのものから考え直した方がいいでしょう。

土地を事業用資産として経営が継続している会社を丸ごと背負い込むのと、土地を買う、のとでは、全く異なります。

「高い、安い」だけでなく、「買って、実際にきちんと使えるか? 使えるまでにどれだけの面倒が生じるのか? いつまでに、いくらかければ、更地の状態にできるのか?」まで考えて、総合的にコストを計算してくださいね。

もしかしたら、無駄なトラブルを抱えて、オリンピックが開催されても裁判沙汰を抱えて開業できないなんてリスクを考えたら、「時価にプレミア乗っけて、ついでにホテルの残存価値がくっついて、さらに、足元みて強気の、ギリ乗っかれそうな値段」で更地を買えた方が遥かに安くつく、なんてこともあるかもしれません。

「残った従業員は生意気なヤツばっかり」なんて愚痴をこぼすくらいだから、ひょっとしたら労働紛争リスクが大きい可能性はあるかもしれません。さらにうがった見方をすると、その売り主の会社のオーナーも、そういう面倒を転嫁するためリスクの塊がくっついた企業を売りつけ、自分はカネだけもらって勝ち逃げしよう、なんて魂胆もあるかもしれません。

いずれにせよ、ここは冷静に、「カネほしけりゃ、更地にしてもってこい。そちらのリスクと負担と責任で更地にして、売れるだけの準備を整えて。余計なものがくっついて使えない土地なら、びた一文払わないよ」という経済的に純化された目的に適合したスタンスを再確認し、取引構築を検討されるべきでしょうね。

畑中 鉄丸(はたなか てつまる)
弁護士・ニューヨーク州弁護士。東京大学法学部在学中に司法試験(日本)及び国家公務員試験1種に各合格。新日本製鉄勤務等を経て、弁護士登録し、1998年に渡米。ペンシルバニア大ロースクール(修士課程)留学、ニューヨーク州司法試験合格後、Kirkland&Ellis法律事務所勤務等を経て、弁護士法人畑中鐵丸法律事務所を設立し、現在に至る。多数の企業・医療機関・学校法人等の顧問弁護士を務めるほか、日本弁護士連合会債権回収に関する委員会(サービサー委員会)前委員長、日本商品先物取引協会あっせん・調停委員、日本商品先物取引協会・自主規制委員会委員、一般社団法人ニューメディアリスク協会理事、子ども安全学会理事長等を歴任。著書は「企業法務バイブル」シリーズ(弘文堂)、「戦略的コンプライアンス経営」(弘文堂)、「ビジネス契約実務大全」(企業研究会、分担執筆)、「法律オンチが会社を滅ぼす」(東洋経済新報社)、「こんな法務じゃ会社がつぶれる」「生兵法務は大怪我のもと!」(第一法規)、「ヤヴァイ会社の死亡フラグ10」(経世出版)等多数。最新刊は「こんな法務じゃ会社があぶない」(2016年4月、第一法規)。

キーワード:経営、マーケティング、グローバル化、働き方改革、人材、イノベーション、経営層

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