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ケース26:「額に汗」して作り上げた巨大データベースをパクられた! 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

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今回の悩める経営者:株式会社データ・スペシャル 代表取締役社長 松本まつもと浩己ひろみ(34歳)

相談内容

 先生、パクられちゃったんスよ! もう、ホント、信じらんない!
 ビッグデータとかって、わかります? あれですよ、あれ。

 プリペイドカードの使用履歴とかを、ぼやっとした形で捉えて、「こういう年齢のこういうおじさんは、こういうとこで寄り道して、こういうところで飲むことが多く、で、だいたい、最初の1杯目はビールで、2杯目がウーロンハイ、ってことが傾向としてわかる!」みたいな。

 そうそう、それそれ。そんなざっくりしたデータ集めて、いろいろ分析したら、集客にいかせるぞ!、みたいな。

 おじさん世代がうろうろしそうな時間帯に、テッパンの寄り道駅の居酒屋で、「ビール1杯目無料、2杯目ウーロンハイご注文のお客さんは半額!」みたいな看板だすと、誘蛾灯に誘われる蛾のように、おじさんホイホイみたく、使って、儲けましょう!、みたいな、そんなやつですよ。

 そ、そ、それで、ウチの会社もそのビッグデータに関係するソフト開発に参戦したの!

 先生知んないかもしれないけど、ウチのリリースした21番目のシステムなんで、「D21スペシャル」って開発コードで作って、完成して、データぶっ込んで、運用してんだけど、そこそこ業界で話題になってるわけ。

 難しいこと言っても、先生、わかんないかもしんないけど、ウチのシステムは、どんな無茶振りにも、横暴なクライアントの要望にもサックリ対応できるよう、これまでのありとあらゆるワガママを聞き入れ、都度都度、アップデートしてきたわけ。

 でね、その甲斐あって、データベースにはものすごい数のインデックスがあって、とにかく、たいていのニーズにスゲー早さで「クライアントからみて見やすいデータベース」に、チャチャチャー、って変換して提示できんの。まあ、すごいよ。客の中には、かなりエッジの効いた、つか、アブノーマルな解析を依頼してくる連中もいるけど、たいてい、満足するわけよ。

 でもさ、ここまで来んの大変だったわけ。

 こんだけのデータ処理するにはコンピューターの性能も対応してないし、要らねえ情報とかも結構あるでしょ。とにかく、リリースできるようになるまで、ホント、スゲー苦労してやり直しの連続だったわけ。

 ようやくさ、データクロールも自動化されたし、あとコンピューターの性能も追いついてきて、今じゃ、そこそこ儲かってるよ。そりゃね。苦労したかんね。

 そしたらだよ。今まで一緒にやってきた、デービス石井っつうアメリカ帰りのMBA野郎と、陳君という中国のエンジニアがさ、突然会社辞めて、会社立ち上げてんの。

 「センシティブ・ジャーニー株式会社」だって。もう、ふざんけんな、って感じっすよ。

 で、システムだけど、基本的な部分はほぼ同じ。見え方というか画面イメージはそりゃ、ちょっと違うけどね。そりゃ、ひどいんじゃねえの?

 あんだけのもの作るの、すげー、苦労したしカネもかかったし、言ってみりゃ、タダ乗りみたいなもんよ。

 まあ、そんなところでさ、先生、知財っつうんだっけ? ちょっとは詳しいんでしょ。いっちょヤキ入れてやってよ! 頼むよ!

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