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ケース5:取締役会でのクーデターに注意せよ! 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

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今回の悩める経営者:(株)  升岡ますおかコーポレーション 代表取締役社長 升岡ますおか十三じゅうぞう(47歳)

相談内容

 先生、ご存じのとおり、我が社はラーメンからミサイルまで取り扱う総合商社としてグローバルに展開する、熱い、熱い会社です。我が社は上場しておりまして、まあ、過半数とはいわないまでも、ほとんどの株は我が升岡家が有しております。今日は、社内で最近、妙な噂を聞きつけたもんで、ちょっと相談に参った次第です。
 お恥ずかしい話ですが、オーナー社長である私の経営方針に反対するふていのやからが、以前から少なからずおりました。最近、現在13人いる取締役のうち、相当な数の者がこの反対派に同調し、安っぽい飲み屋か何かで夜な夜な集まり、「社長の経営戦略にはついていけない。交代すべきだ」なんて話が出ているそうなんです。

 私の経営戦略というのは、我が社と、気鋭の起業家、錦鯉(にしこい)桂(けい)社長率いる格安航空会社(LCC)エア・ケイ社との合併の話なんです。

 エア・ケイ社は成長著しい会社であり、錦鯉(にしこい)は私の後輩で、世界一になる野望をもっている、熱い人間です。我が社の成長のためには、ぜひともエア・ケイ社との合併が不可欠なんです。私の熱血社員指導と、エア・ケイ社のクールなビジネスモデルを組み合わせれば、世界的大企業となることも夢ではない!だから、我が社とエア・ケイ社との合併は何としても進めなければならないんです!

 しかし、この合併話に対して、私の見通しが甘いだとか、エア・ケイ社はまだ基礎体力がなくいずれ失速するとか、合併は時期尚早だとか、事故が起こったらどうするとかいうくだらない慎重論が、反対派の間に渦巻いているようなんです。

 一刻も早く世界一を目指すには、こんなくだらない反対派にかまっている暇など無く、定例役員会で役員全員に対して「お前ら、本当にそんな消極的な姿勢で世界を取れると思っているのか!」と一喝してやりました。これで一度は反対派も静かになったんです。私としては、沙汰止みになったと思っていたのですが、逆に反対派は水面下で動きを強め、クーデターを起こす、とかワケのわからない話も飛び交っているようなんです。

 バカ言ってんじゃないですよ。私はオーナーですよ。今度こそガツンと取締役会で言って、反対派をねじ伏せてやろうと思っています。

 やはり世界を目指す、熱き経営者たるもの、チョコザイな根回しではなく、堂々と正面から応戦するべきでしょう。まあ、どっしり構えていれば、大丈夫ですよねぇ、先生?

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