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ケース2:従業員の過労死で、役員個人が賠償させられる!? 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

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「過労死を防止する社内体制構築」義務の明確化

この最高裁の事案では、被告会社の社長ら4名が、連帯して、合計約8000万円の損害賠償の支払いを命じられております。

原審である大阪高裁判決は、その理由中で、

「取締役は会社に対する善管注意義務として、会社が使用者としての安全配慮義務に反して、労働者の生命、健康を損なう事態を招くことのないよう注意する義務を負い、これを懈怠して労働者に損害を与えた場合には会社法429条1項の責任を負うと解するのが相当である。」

「責任感のある誠実な経営者であれば自社の労働者の至高の法益である生命・健康を損なうことがないような体制を構築し、長時間勤務による過重労働を抑制する措置を採る義務があることは自明であり」

と述べております。

経営者の皆さんもご承知のとおり、取締役は、会社の経営全般について厳格な善管注意義務を負っています。

同事案の大阪高裁判決では、善管注意義務の一つとして、「労働者が過労死しないように、注意する義務」が存在することを明確に示しております。

この点から、労務管理にあたっては、単に法令の手続履践や、残業計算だけでなく、「『自社の労働者の至高の法益である生命・健康を損なうことがないような』社内体制構築」を適切に行っておくべきです。

「企業の経営資源は、ヒト・モノ・カネ・チエである」と言われますが、経営資源の中で最も重要なヒトの取り扱いには、「責任感のある誠実な経営者」として、くれぐれも注意していきたいものです。

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