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ケース2:従業員の過労死で、役員個人が賠償させられる!? 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

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顧問弁護士 畑中鉄丸の助言

残業にまつわるリスク

そもそも労働基準法(労基法)32条は、「週40時間以上労働させること」を禁止しています。これが大原則です。

例外的に残業を労働者にしてもらうためには、いわゆる36(サブロク)協定、すなわち労基法36条に基づいた協定を労働者側と締結したうえで、さらに労働基準監督署に届け出る、という手続きが必要です。

また、残業をしてもらう場合には、割増賃金(※最高で60%増しとなることがあります)を支払わなければなりません。

サブロク協定を締結しないで残業をさせたり、残業代を払わなかったりした場合には、「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」の刑事罰が定められています。実際、飲食店やマッサージ店、さらには上場している大手量販店や大学ですら、この違反を理由として書類送検されたりしております。

以上のとおり、「残業をしてもらうにあたっては、法令の手続きを完璧にフォローする」ことに加え、「きちんと残業代も支払う」ことが必要です。

それでは、「法令の手続きに従って残業代を払ってさえいれば、どんな過酷な労働も許容されるか」といえば、そういうわけではありません。

たとえ法令に従って手続きを履践し、所定の残業代を払っていたとしても、過重な労働によって労働者が過労死してしまった場合には、会社は労働契約法第5条「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」(安全配慮義務)に違反したものとして、損害賠償責任を負担します(※最高裁2000年3月24日判決、最高裁2012年2月24日判決など)。

過労死の場合の賠償額は、数千万円から1億円を超えることもあるので、「見舞金を払えばいい」などと考えているのであれば、それは極めて危険です。

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