経営トップのための"法律オンチ"脱却講座

ケース2:従業員の過労死で、役員個人が賠償させられる!? 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

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今回の悩める経営者:(株)Arimama.comアリママ・ドット・コム 代表取締役社長 慈英じえい芽衣めい(26歳)

相談内容

 先生、ご存知のとおり当社は、優秀なシステム・エンジニア(SE)を抱えて、IT関連業務を受託しています。
 最近は優秀なSEほど、すぐに辞めて他の会社に行っちゃうんですが、当社はアタシの営業力で魅力的な仕事がどんどん入ってくるから、SEたちもやる気になって頑張ってくれています。

 ありのまま、偽りなく、目の前の仕事に集中してもらいたいのだけれど、できない子に限って、残業させると文句を言うから大変。最近はいろいろ厳しいことを言ったり、なだめたりして、残ってくれている子たちにしっかりと残業代をフンパツして奮い立たせて、能力を引き出してあげている感じですね。

 本当に優秀な子だけを少数精鋭で囲い込んで、もう引きこもりみたいな勢いで缶詰めにして働かせているんですが、その代わり、ものすごい高給払ってますよ。当社も当社のお客さんも、基本的に要領が悪い子は嫌いなので、能力の高い子しかご指名が来ません。

 もちろん、このやり方にもリスクはあるんです。

 このあいだ、業務が集中した子が過労で倒れちゃった。そのときは、猛烈に怒った親御さんが弁護士を連れてきたの。最近は、子どもの仕事に親が出てくるから、困ったものね。

 だけど、相手の親御さんも経済的にお困りだったようで、こっちも足元をみて、見舞金に色をつけて、払って許してもらいました。そう、そのとき先生に示談書をお願いしたんですよね。守秘義務条項をバッチリつけてもらったためか、全く表沙汰にはなっていません。

 あんときは正直、「ヤバい!」と思ったけど、そうカンタンにビジネスモデルや商売の仕方は変えられません。やる気のある優秀な子にギリギリ、限界まで働いてもらって、みんなでがんばる。会社も、みんなも、今までどおり、あるがまま。

 何かあったら会社から見舞金払っちゃえ、って感じ?それに、いざとなったら会社つぶして、また新しい会社つくっちゃえばいいだけだし。てゆうか、同業の姉の松子(まつこ)と当社は株を持ち合う形でやっているから、いざとなったら松子姉に事業をM&Aしてもらえば、何の問題もないし。

 先生、こんなLet it go!な感じで、大丈夫よね?

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