泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

株価が示すソニーの復活は本物か? GFリサーチ 泉田良輔氏

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ソニーの株価が堅調に推移している。国内大手電機メーカー5社の株価を、アベノミクスが叫ばれ始めた2012年11月末から2017年5月2日までの約4年半にわたり、指数で示したのが下のグラフである。民生エレクトロニクス企業として、ソニー、パナソニック、シャープを、産業エレクトロニクス企業として日立製作所と東芝を取り上げ、併せて東証株価指数(TOPIX)を掲載している。各社の2012年11月末における株価を100とした。

すぐわかるように、各社とも波はあるものの、5社のなかでソニーの株価が飛び抜けて勢いがある。2017年5月2日時点の同社の株価終値は2012年11月末時点の5倍弱に達する。同期間にTOPIXも約2倍になったが、ソニーの株価パフォーマンスはその2倍以上である。

ソニーの株価は、なぜこのように好調なのであろうか。家庭用ゲーム機「プレイステーション4(PS4)」やスマートフォン/デジタルカメラ向け画像センサー(CMOSセンサー)の事業が好調だからと言われるが、ここではより多角的、および全社の収益やキャッシュフローに注目をして、株価の復活が果たして本物なのかどうかを探っていきたい。

過去最高益を超えられない「失われた20年」

まず、ソニーの過去20年間にわたる業績の変化を見てみよう。下のグラフは1994年度以降の連結売上高と営業利益推移を示したものである。一目で気づくが、営業利益のピークは1997年度(1998年3月期)の5257億円で、それ以降はその水準を更新していない。米国でサブプライムローンによる住宅建設ブームが起きた2007年度は3745億円にまで営業利益を回復させたが、この20年間、1997年度の最高益を超えることはなく、「失われた20年」といっても過言ではない。

<FONTBOLD />ソニーの連結売上高と営業利益推移(単位:10億円)</FONTBOLD> 出所:SPEEDAをもとにGFリサーチ作成

ソニーの連結売上高と営業利益推移(単位:10億円) 出所:SPEEDAをもとにGFリサーチ作成

最高益がこれまで更新できなかった理由は何だろうか。

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