米ゼネラル・エレクトリック(GE)の業績と株価が低迷して久しい。伝説の経営者と呼ばれたジャック・ウェルチが同社のCEOだったころ(1981~2001年)と比べると、明らかに勢いを失っている。
GEのあせりは、同社の2014年のアニュアルレポートに記されたトップメッセージにもにじみ出ている。GEにとって最適の金融事業とは何かと検証を繰り返したようで、それを「ファイナンシャル・ピボット」という言葉で表現している。2014年から2016年にかけ、金融事業を再構成し、事業ポートフォリオをインフラ事業にシフトさせることで利益成長を実現したいとする。このトップメッセージに呼応して、2014年のGEは矢継ぎ早に手を打ち、眠れる巨人が覚醒したかのようだった。
今回は、GEがこうした戦略を打ち出すに至った背景を振り返りつつ、GEの動向が関連業界や日本企業に与える影響について考えてみたい。
GEの戦略がなぜ日本企業に影響を与えるのかと疑問に思う方もいるであろうが、GEが巨大であるがゆえに、その事業ポートフォリオの急速な変化が関連業界の競争環境に大きな影響を及ぼし得る。半導体や液晶パネル、スマートフォン、テレビなどで敗戦を重ねてきた日本の電機メーカーの多くは、今、GEと事業分野が重なるインフラ事業へ傾注するようになっている。そうしたトレンドの中で、GEがインフラ事業へ経営の軸足を大胆に移せば、日本企業の経営の選択肢を大きく狭めることにつながる可能性がある。
S&P500を下回るGEの株価推移
まず、GEがいかに資本市場で追い込まれているかについて、データをもとに見てみよう。ここでは、経営者にとって一番気がかりな株価について調べてみる。下のグラフは、リーマンショック直前の2007年1月末から現在まで、インフラ事業を手がける日米企業4社の株価推移を指数化(2007年1月末=100)したものだ。日本企業については、ドルベースの株価に換算している。