泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

トヨタは大丈夫か、自動車産業の「弱点」を狙うイノベーター GFリサーチ 泉田良輔氏

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 自動車産業の競争環境が変貌することを見越して、米グーグルなど「新規参入を目論むイノベーター」が虎視眈々とゲームチェンジの準備を進めている。ソフトバンクも自動車産業を狙っている可能性がある。

イノベーターの攻撃対象は、間違いなく既存の自動車産業の「長いバリューチェーン」だ。このコラムでは、新規参入を目論むイノベーターの視点から日本の自動車産業の課題を探り、今後も成長し続けるための論点を整理していきたい。

自動車産業で起こる競争領域のシフト

日本の基幹産業の1つである自動車産業の将来について、様々な見方がある。「新興国の自動車メーカーが安い電気自動車を投入してくれば、日本の自動車産業は価格競争に巻き込まれてしまうのではないか」という悲観シナリオや、「日本の自動車メーカーはものづくりに競争優位があるから大丈夫だ」という楽観シナリオだ。しかし、いずれのシナリオも、これから起こるであろう自動車産業の重要な変化を押さえた議論とはいえない。

結論から言えば、今後自動車産業で起きる競争環境は、これまでの「燃費効率や環境規制への対応を突き詰めてきた領域」(右図の第1象限)から、「テクノロジーを駆使して自動車の安全性を再定義し、それを実用化する領域」(同第2象限)にシフトすると考える。右図の第2象限で最も重要なのは、自動車産業にとって悲願でもある「歩行者の安全性向上」だ。さらに、次々世代の競争領域となると考える第3象限には、もっとスケールの大きな競争が待っている。

この変化にしっかり対応できなければ日本の自動車産業の将来は危うい。さらに、このように競争領域がシフトするフェーズでは、イノベーションを持ち込んで新しい競争のルールを確立するプレーヤーが現れるものである。実際、米グーグルなどがその準備を着々と進めており、大きな脅威となっている。私は、ソフトバンクも将来、米国で自動車を販売する可能性があるとみている(詳細は後述)。

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